昨年開業のホテルマイステイズ広島平和公園前14階に12月、オープンした。広島の中心街が一望でき、旧ホテルサンルートの伊料理店「ヴィアーレ」の時から花見シーズンは早くに予約が埋まるという。
東京都出身の嶋義昭料理長は食への興味から、19歳で伊シチリア島に渡った。地中海地方の料理を学び、帰国して20代は都内ホテルのレストランに勤め、30代で独立し、伊料理店を開業。再びホテル業界に戻りフレンチなどを学び、異動で初めて来広した。
「カキ以外にも魚介類が豊富にあり、そのおいしさに深く感動しました。素材の味を生かした味付けや地産地消の食文化など、シチリアで学んだことを生かしたい」
伊・仏料理を織り交ぜながら、広島の海の幸・山の幸に加え、柑橘類を使った〝瀬戸内料理〟を提供。現在は朝食営業のみで、ランチ・ディナーコースは新型コロナの状況を見ながら再開する。
「店内には、お客さまから見えるところに時計を置きません。特別な空間や時間を楽しんでほしいと、長年にわたる私のこだわりです」
エディオンスタジアム広島から徒歩約10分の場所に広島支店を構え、チルド食料の卸売業を手掛けています。私は広島市内で育ち、小中高とサッカーに夢中。そうした縁から当社は12年間サンフレッチェのスポンサーを務めています。森﨑和幸、浩司兄弟とは公私ともに交流があり、一緒に食事やフットサルを楽しむ仲です。きっかけは、4年前に卒業した広島青年会議所(JC)の仲間や広島の経営者を通じて知り合ったこと。二人とも真面目で、とても誠実な人柄。コロナ禍が始まった当初にはクラブも大変な中、当社の状況を案じて訪問してくれたこともありました。会社創業の地が福山であることから、Jリーグ昇格を目指す社会人サッカークラブ「福山シティFC」のスポンサーにも本年から手を挙げました。こうした取り組みから昨年9月、100周年を迎えた日本サッカー協会の記念事業で、サッカーに長年貢献している企業として「感謝表彰」を受賞。大変名誉に感じ、今後もサッカーを通じて地域、社会に貢献していく決意を新たにしました。
先日新サッカースタジアムの起工式があり、「HIROSHIMA スタジアムパーク PROJECT」がいよいよ始動。実はスタジアムパークの完成予想パースには私がJC時代に事業で携わったSUPも描かれています。水の都ひろしまとうたいながら、まだまだその素晴らしさを生かしきれていない。周辺環境も含め、多くの市民や観光客に愛される多目的スタジアムパークの実現へ、サッカー好きの経営者仲間と共にできる限りの支援をしたいと考えています。
100年に一度の大波にさらされており、広島の自動車産業はいかにして、この難局を乗り切ることができるだろうか。
電動化や自動運転に加え、移動するだけの価値を超えて楽しさ、便利さなどの複合的な価値を持つ自動車の技術開発が世界的な規模で加速し、トップレベルの燃費性能を備えたガソリンエンジン、電気とガソリンのハイブリッドエンジンで世界をリードしてきた日本の自動車産業が一夜にして崩壊する可能性が大きくなってきたという。
いつの間にか日本車がさっぱり売れなくなり、生産を止めて廃墟と化した工場群。繁華街や料飲街の灯が消え、住宅街は県外、海外へ移住してしまった空き家が並ぶ。
もし何年か後、広島の街がこんな光景になった時、経済界や行政関係者らはなぜ重大な判断を誤ったか、何をなしたかと厳しく問われることになる。
本誌の創刊70周年企画として昨年7〜10月に「10年後の広島の自動車産業のあるべき姿」をテーマに、ひろしま自動車産学官連携推進会議の協力を得て懸賞論文を募った。大学の研究者や学生、行政、企業関係者らから19件の作品が寄せられた。それぞれに共通して、ここで将来への目測、進むべき方向を見誤ると、戦後から広島経済を支えてきた自動車産業が一気に瓦解してしまうという危機感があり、広島の個性、長所を発掘して難局をチャンスとする具体的な戦略を述べる。こうした提言が埋もれることにならぬよう受賞作を冊子にまとめて県や経済団体、関係方面へ渡すことにしている。
一般の部で2位に選ばれた尾上正幸さん(36)は、2008年に広島大学法学部を卒業後、5年間のマツダ勤務を経て県商工労働局イノベーション推進チームに所属。その経歴に興味を覚え、話を聞いた。一点突破で世界と戦える「グルーバルニッチトップ技術」の深化を図り、オール広島で技術やサービス、資金、アイデアを補完し合う「オープンイノベーション」を骨子とする提言の一部を抜粋し紹介したい。(要約)
広島の自動車産業はどうあるべきか。これまでの移動による便益や、人が運転することで得られる喜びに加え、自動運転などの利便性、地球を汚染しない環境性、さまざまなサービスへの接続、これらをバランスよく向上させた次世代モビリティを世界へ送り届けている、それが目指すべき姿だろうか。
いや、そうではない。一企業、一業界、一地域で全てを補う時代は終わった。なぜなら社会変化のスピードが加速度的に速くなっている。これまでと同じことをしていてはもう後発の企業は追いつかない。資本と技術が特定企業に集中し、その集中が次の集中を加速度的に誘発している。世界規模の情報系産業がさまざまな企業を吸収して急拡大し、自動車産業の領域へ進出してきている。
さらに、カーボンニュートラルをはじめとした劇的な環境変化はこれからもどんどん起きてくる。だから、自社や地元でできないことは思い切って他社や他の地域に頼り、合従連衡してイノベーションを起こしていかなければ産業競争のレールから脱落してしまうだろう。 −次号へ